活動報告

ラボ発足2年目を迎えて

「夢は見続けられる、それがサイエンス」

■2025年度スタート、新たなメンバーとともに

 2025年度が始まり、片山研究室の2年目がスタートしました(と言っても、気づけば忙しさに追われ、あっという間に7月も終わりが近づいています)。今年度は、新たに3名の学部4年生が加わり、研究室は計16名(うち、神取研究室から2名の学生が参加)となりました。学生たちのエネルギーに満ちた日々が始まったわけですが、私自身にとって、今年は忘れられない年になるのではないかと感じています。

 なぜなら、長年の夢であった「錐体視物質の立体構造の解明」が、ついに現実となったからです。学生時代から抱いていたこの目標を、ようやく達成することができたのです。正直なところ、この夢が叶った瞬間、私はどんな気持ちになるのだろうかと考えていたことを今でも覚えています。果たして、研究者を続けるのだろうか、それとも違う道に進むのだろうか?そんなことを、留学先の米国Palczewski研究室で、真夜中の暗室で考えていたのです。当時(2014年~2017年)は、週に一度はラボに泊まり込み、錐体視物質を精製しては結晶化し、その観察を繰り返す日々でした。「明確な根拠はないけれど、いつか成功するだろう」と、何となく感じながらも、時にはこれを達成したら研究をやめて、他の道に進むかもしれないと思ったこともありました。

■長年の夢、錐体視物質の構造解明

 それから約10年が経過し、今その夢を実現し、頂に立った今、改めて感じること。それは「これって一体何だろう?どうしてこうなっているのか?」という新たな疑問の連鎖です。まさにサイエンスの醍醐味。ひとつの謎を解き明かしたと思った瞬間、また新たな疑問が湧き上がり、それが次の夢を生むのです。私は、次の目標に向けて再び10年、20年の時間を要するだろうと予感していますが、それを達成するために新たなスタートを切ったと感じています。

 さらに、片山研究室では色覚研究に限らず、GPCRや分子進化といった他の研究分野に取り組む学生たちが、次々と新しい発見や現象を実験データとして持ち帰ってきます。その度に、私の興味は尽きることがありません。サイエンスの世界には、まだまだ未知の領域が広がっており、その探求を続けることができる幸せを実感しています。

■新メンバーへの期待

 さて、少し前置きが長くなりましたが、今年新たに加わった3名の学生たちについて触れたいと思います。素晴らしい先輩たちの背中を見ながら、どんな新たな研究を展開してくれるのか、私はとても楽しみにしています。研究室主宰者としてではなく、一研究室のメンバーとして、彼らの成長を見守りたいと思っています。まずは、無事に大学院入試を突破し、新たな一歩を踏み出してくれることを願っています。

 サイエンスの世界では、夢を追い続ける限り、新たな発見と挑戦が待っています。それこそが、サイエンスの魅力であり、成長の原動力なのです。

 

片山耕大